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寄稿:まえばし市民提案型パートナーシップ事業 事業名「子ども服リユース」で取り組むSDGs「貧困・ジェンダー・つかう責任」市民参加型事業 」について

 

 

一般社団法人シェアリングエコノミー協会 常任理事 

デジタル庁シェアリングエコノミー伝道師

総務省地域情報化アドバイザー 積田有平

 

 

 

「子ども服リユース」で取り組むSDGs「貧困・ジェンダー・つかう責任」市民参加型事業 」は、シェアリングエコノミーの本質を捉えた事業である。

シェアリングエコノミーは、既にある遊休資産を活用すること、そして基本的にはインターネット上のプラットフォームを通じて個人間で取引をするというCtoC型のビジネス形態に特徴がある。

これまでのビジネスや公共サービスは企業や行政がサービスの担い手であったが、テクノロジーの進展により個人が持っている遊休資産(スキル・モノ・空間・お金・移動手段)をリアルタイムで可視化することによって個人がサービス提供の担い手になることができるのがシェアリングエコノミーの最も重要な要素である。

この仕組みを活用すれば、シェアリングエコノミーは、課題を持っている個人に対して、その課題を解決できるスキルやモノを提供できる個人を結びつける個人間の共助の仕組みであると言える。

 

1:シェアリングエコノミー協会作成「シェアリングエコノミー ビジネスモデル概念図」

本事業の軸となる「子供服のリユース」ついては、成長の早い子供にとって、成長して着ることができなくなってしまった子供には不要であるが、これから成長する子供たちには必要になる「子供服」という遊休資産を活用して、成長して子供服が不要になった個人とこれから成長して子供服が必要になる個人をマッチングすることで、「所有ではなく利用」、「占有ではなく共有」による資源循環型のシェアリングエコノミーモデルを促進し、SDGsの12番「つくる責任、使う責任」に貢献している。

 

そして、本事業の最も重要かつ価値がある点は、子供服のリユースをするだけではなく、本事業の目的に記載のあるとおり「中古子ども服の利活用を通して『母親の繋がり』を感じてもらい、その先にある課題『貧困』『環境』に対して主体的に参加・解決できることを母親に意識してもらう。パートナーシップ事業を通してその仲間を増やす。」という点だ。

 

シェアリングエコノミー協会が行ったシェアリングエコノミーの幸福度及び社会のつながりに関する調査では、シェアリングエコノミー利用者とそうでない人を比べると、全ての項目でシェアリングエコノミー利用者の方が幸福度や社会とのつながりを感じる割合が高いことを示した。これにはシェアリングエコノミーの重要な特性である個人間取引であることから人と人とをつなぐ効果が影響している。

日本は今や1年に3万人の人が孤独死すると言われている。他にも、社会から孤立してしまう人の増加は犯罪や貧困等の問題につながる。これらの問題に対して、シェアリングエコノミーは人と人とをつないで社会的孤立を防止することで解決に貢献できる。

 

2 シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査 SDGsへの貢献、幸福度、社会とのつながり」から抜粋

3 シェアリングエコノミー協会「シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査 SDGsへの貢献、幸福度、社会とのつながり」から抜粋

その点を捉え、自分で自分の生活を守る「自助」、行政がサービスを提供することで守られる「公助」に加え、「子供服のリユース」を軸にしてNPO法人マムズスタイルがプラットフォームになり、シェア仕組みを活用することで地域内に母親同士の「共助」の構築を目指し、母親コミュニティやそのつながりを通じて助け合いを行う「共助」を作り出し、孤独や貧困を防ぐという課題解決に向けた素晴らしいソリューションである。本取組みが地域の資源循環モデルを推進し、かつ母親同士の共助の仕組みとして継続していくこと、そして、全国に展開していくことを望んでいる。